カードローン返済が遅れた場合の遅延損害金とは?期限の利益喪失と一括請求について説明
カードローンから借り入れたお金は返済期日までに返済しなければなりません。仮に、期限までに返済しないと「期限の利益」を喪失することになります。
期限の利益とは決められた期限までは借入金の返済をしなくても良い、または、借入金の支払いを請求されないなどの利益のことをいいます。
その期限の利益を失うと、債務者は借入金を直ちに一括返済しなければならなくなります。
「遅延」と「延滞」の違い
「遅延」っていう時と「延滞」っていう時があるけど同じ意味じゃないの?
その通りです。「遅延」と「延滞」、どちらも返済が遅れるという意味では同じなんです。
じゃあどうして言い分ける必要があるの?ややこしいからどっちかに統一したらいいのに!
信用情報とは各種ローンやクレジットなど、過去の金融機関との取引履歴が記録されているものです。この信用情報は、現在日本に3つある信用情報機関というところで保管されています。
カードローン会社は2つを使い分けている?
カードローンの返済遅れと言っても利用者によって遅れた理由は異なります。例えば、下記のような理由で返済が遅れてしまった人がいたとします。
-
Aさん:うっかり返済日を忘れてしまって1日返済が遅れてしまった
Bさん:返済出来るお金が無くて3ヵ月以上返済が遅れている
この場合、どちらも返済期日に間に合わなかったという点では同じですが、返済能力の面では大きく変わってきます。
Aさんの場合は、返済日を忘れていましたが1日後にすでに返済が行われています。しかし、Bさんは返済の見通しが立っていないため返済が行われない可能性もあります。
そのため、同じ返済遅れでもカードローン会社では遅延と延滞を区別しているのです。
具体的には返済が61日以上または3ヵ月以上遅れた場合「延滞」として信用情報機関に報告出来るようになっています。
ザウルスくん、この場合AさんとBさんは遅延と延滞どちらになるでしょうか。
Aさんは1日の遅れだから「遅延」で、Bさんが3ヵ月以上遅れているから「延滞」だね!
正解です!カードローン会社は、延滞が起こると信用情報機関に金融事故として報告をしています。
信用情報に記録される情報の1つで返済時に起こったマイナスな情報を金融事故情報と言います。主に長期的な延滞や返済を第三者に立て替えてもらう代位弁済、契約違反などによる強制解約、返済不能に陥った場合の債務整理などを行うと金融事故情報として記録されます。
この報告はあくまでもカードローン会社の判断によって行われるため必ず報告しなくてはならないという決まりはありません。しかし、よっぽどの理由がない限りは報告されると思っておいた方が良いでしょう。
また、遅延の場合はカードローン会社には遅延の情報が残りますが、信用情報機関に事故情報として報告されることはほとんどありません。
金融事故情報が記録されるとどうなるの?
基本的に信用情報に金融事故情報が記録されていると審査に通ることはほぼありません。
また、信用情報はカードローンだけではなく、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード、携帯の機種代金の分割払いなど様々な審査の時に確認される情報です。
カードローンの延滞記録が信用情報に残ることによって、カードローン以外の審査にも影響してきてしまいます。
審査に通るための解決策は、とにかく記録が消えるのを待つしかありません。この金融事故情報は保管期間が定められており、延滞は延滞解消日から1~5年は記録が残ります。
そのため、もし延滞の記録が残ってしまった場合は、信用情報から記録が消えたことを確認してから審査を受けるようにしましょう。
1日でも返済が遅れたら一括請求をされるのか?
ただし、現実には一度や二度の遅延で期限の利益を失うことはまずありません。カードローンの契約書には期限の利益喪失条項で、返済を一度でも怠った場合は期限の利益を喪失すると、ほとんどの会社が書いています。
でも実際は、1日返済が遅れただけで期限の利益を喪失させ一括請求していたのでは、利息収入も増えませんし、回収する手間暇が膨大にかかってしまいます。
その為、返済が1週間程度遅れたぐらいでは、まず一括請求されることはありません。期限の利益を喪失しているかどうかは、裁判まで発展した時に大きな争点となりますが、貸金業者側が延滞したので期限の利益を喪失していると主張しても、実際に一括請求をしていなければ、認められないケースもあります。
一括請求を受けるのは延滞3ヵ月などの長期のケースです
このことから、本当の意味で期限の利益を喪失して一括請求を受けるのは延滞2ヵ月~3ヵ月ですでに貸金訴訟の準備をしている段階のレベルでしょう。
もちろん、その時には内容証明等も届いていると思いますので、一般的な数日間の延滞では、期限の利益を喪失することは、ほとんど無いと言っても良いと思います。
しかし、「遅延損害金」を請求されることは常識的に起こり得ます。遅延損害金というのは、債務者が借金の返済において契約不履行をしたことに対する損害賠償金のことです。遅延損害金に関しては契約書にきちんと定められていますので必ず確認しましょう。
期限の利益喪失と遅延損害金は別で考えた方がよく、期限の利益を喪失してない場合でも遅延損害金は遅れた日数分だけ請求されます。
遅延損害金は上限金利の1.46倍!?
遅延損害金の上限利率は利息制限法によって貸出上限利率(15%~20%)の1.46倍以内と定められています。
例えば、借入金が50万円の場合は貸出上限利率が18%のため、遅延損害金の上限利率は26.28%(18%×1.46)になります。
しかし、上限利率を超えた遅延損害金は無効であり、支払う必要はありません。遅延損害金利率は各業者によって異なっていますが、一般的に20%程度になっています。(※20%以上の金利設定になっているのは正規金融業者ではありませんので注意が必要です。)
カードローン | 遅延損害金利率 |
---|---|
プロミス | 20.0%(実質年率) |
アコム | 20.0% |
オリックス銀行カードローン | お借入残高に対し借入利率+2.1%(年率) |
イオン銀行カードローン | 19.8% |
例えば、借入残高が50万円で、遅延損害金利率は20%、支払日から10日遅れた場合の遅延損害金は、50万円×20%÷365日×10日=2,739円になります。この金額を通常の元金と利息の他に支払わなくてはなりません。
カードローン利息の計算式はこちらの記事に書いてあります。
カードローン返済のポイント説明はこちらの記事
よく勘違いしている人がいますが、遅延損害金の金利は遅れた日数分だけに計算されます。
例えば、通常利率18.0%、遅延損害利率20.0%のカードローンにおいて、9/1に借入して9/30が返済期日だったとします。
しかし、10日間遅れて10/10に返済した場合は、9/1~9/30までは通常利率の18.0%で計算され、10/1~10/10までの遅れた10日間だけが遅延損害利率の20.0%で計算されることになります。
その時の請求利息は、通常利息+遅延損害利息となるのです。9/1~10/10までの全期間が遅延損害金の20.0%で計算されると思っている人がいますが、それは間違いなので覚えておきましょう。
延滞しても即ブラックになることはありません!
遅延損害金を取られた人の中にはブラックリストに登録されたのではないかと心配する人がいますが、10日程度遅れたくらいでブラックリストに載ることはありません。
延滞記録がブラックリストに登録されるのは、通常延滞が3カ月以上続いた場合です。
ブラックリストってなに?
ブラックリストとは、指定信用情報機関の事故情報の事を言っており、事故情報(ブラック情報)が登録されると、カードローンはもちろん、自動車ローンやクレジットカード、住宅ローンも審査が通らなくなる可能性が高くなります。
支払の場合は、延滞期間が3ヵ月以上になった時点で貸金業者側から指定信用情報機関に「延滞」のブラック情報が登録されます。
注意したいのは、信用情報にブラックリストとして載ることはありませんが、業者には遅延記録として残ってしまう点です。遅延記録は融資の審査時に必ず見られる項目なので延滞記録が多い人は限度額を増やす増額ができない可能性があります。
なお、返済が遅れてしまうことが事前に分かっている場合は速やかに業者に連絡を入れるべきです。連絡を入れても遅延記録は当然残りますが、今の貸金業法では交渉記録を保存する義務がありますので、顧客から連絡があったことは必ず記録して保存しなければなりません。
支払が遅れる場合に連絡があったのか、無かったのかは、信用に関わることなので支払を遅延する場合は必ず借入しているカードローン会社へ連絡を入れましょう。
業者において一番重要視するのは信用であるため、遅延を軽視していると、再契約を拒否されたり、借入利率のアップや、利用限度額の縮小が行われたりすることがあります。
また当然ですが、返済が行われていない間は新たな借入ができません。
返済が遅れる(滞納)場合の最善の処置とは?
借金を滞納した場合の取り立て規制について
借金の返済・借入状況が分からなくなったら開示請求へ
カードローンの返済方法の種類
カードローンの返済はより多く、より早く支払うのが基本
カードローン金利の知識【消費者金融と銀行】
コメント
この記事へのコメントはありません。
コメントする